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派遣&契約社員の転職・退職のポイント 第5回

離職理由によって、もらえる失業給付金はこんなに違う!

[ 井寄 奈美<いより・なみ>(特定社会保険労務士)]

いまや雇用者全体の4割近くを派遣社員や契約社員など「非正規雇用」の人たちが占める時代です。有期契約で働く非正規社員と正社員とでは、賞与や退職金といった待遇面はもちろん、退職時の手続き等も違ってきます。そこで派遣や契約社員の方のために、損をしない「転職」「退職」に まつわる留意点をまとめました。

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離職票をもらったら、まず「離職理由欄」を確認!

 雇用保険に加入して働いていた人は、退職後に失業給付を受けることができます。

 失業給付は、離職票に書かれた離職理由により、受給日数と給付開始日が異なります。しかも派遣社員・契約社員の場合、離職理由の区分が正社員よりも細かくなっています。

 退職後、会社から離職票が届いたときに、必ず「離職理由欄」を確認するようにしましょう。万が一、事実関係と違う内容で離職票が作成されている場合は、まず会社の人事担当者にその理由を確認してください。

 事実と異なるにもかかわらず訂正されないときは、ハローワークの窓口で相談しましょう。

 具体的に離職理由を確認する際には、以下のポイントをチェックしましょう。契約期間の途中で退職したのか、契約期間満了で退職したのかでチェックポイントが変わります。

■契約期間の途中で退職した場合

(A)社員側の都合で辞めた場合
 自己都合退職になりますので、待期期間7日間ののち、給付制限期間が3か月あります。

(B)会社側の都合の解雇または退職勧奨の場合
 会社都合の退職になりますので、待期期間7日間の後給付制限期間はありません。特定受給資格者となり、失業給付の受給日数が自己都合退職者よりも優遇されます。

■契約期間満了で退職の場合

 契約更新の確約の有無や、契約更新による雇用が3年以上かどうか、さらに、労働者から契約更新の希望があったかどうかで取扱いが変わります。

◆失業給付支給開始までの待期期間および給付制限期間

一般の離職者(定年退職者や自己の意思により退職した65歳未満の離職者)
 …7日+3か月
特定受給資格者(倒産、解雇等により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた場合)…7日
特定理由資格者(有期雇用の労働契約が更新されなかったことにより離職した場合)
 …7日

◆失業給付の所定給付日数

①一般の離職者
被保険者であった期間 所定給付日数
1年以上10年未満 90日
10年以上20年未満 120日
20年以上 150日
②障害者等の就職困難者
被保険者であった期間 所定給付日数
1年未満 150日
1年以上 離職時45歳未満 300日
離職時45歳以上65歳未満 360日
③特定受給資格者・特定理由資格者
被保険者であった期間 所定給付日数
1年未満 90日
1年以上5年未満 離職時45歳未満 90日
離職時45歳以上60歳未満 180日
離職時60歳以上65歳未満 150日
5年以上10年未満 離職時30歳未満 120日
離職時30歳以上45歳未満 180日
離職時45歳以上60歳未満 240日
離職時60歳以上65歳未満 180日
10年以上20年未満 離職時30歳未満 180日
離職時30歳以上35歳未満 210日
離職時35歳以上45歳未満 240日
離職時45歳以上60歳未満 270日
離職時60歳以上65歳未満 210日
20年以上 離職時35歳未満 240日
離職時35歳以上45歳未満 270日
離職時45歳以上60歳未満 330日
離職時60歳以上65歳未満 240日

 契約更新が何年にわたって、何度繰り返されたのか、雇用契約書を確認し、記載されている内容と照らし合わせるようにしましょう。

雇用保険に加入できる働き方は?

 ちなみに、雇用形態に関わらず、雇用保険に加入をすることができる働き方とは、以下の場合を指します。

① 週20時間以上の勤務
② 働き始めたときの年齢が65歳未満
*平成28年4月1日より、65歳以上の労働者についても雇用保険に新規加入できるようになります
③ 31日以上の契約期間で仕事をする場合

 ③の要件については、31日以上の契約がないことが明らかな場合のみ加入対象にはならないとされています。

 たとえば、当初の契約期間が30日以下であったとしても、結果的に更新が繰り返され31日を超えた場合、勤務開始日に遡って雇用保険への加入を求めることができます。

 会社(派遣社員については派遣元)の人事担当者、もしくはハローワークの窓口で相談をしてみましょう。

雇用保険への加入期間を合算できるケースも

 退職後に失業給付を受給するためには、離職理由に応じて6か月以上もしくは12か月以上の雇用保険への加入期間が必要ですが、1社での加入期間がそれに満たない場合であっても、複数の会社の加入期間を合算して12か月以上(もしくは6か月以上)になれば、失業給付を受給できます。

 ただし、合算できるのは前職の離職と次の会社の就職までの期間が1年以内のものに限ります。その際に過去に失業給付の受給対象となった期間は合算されません。

 短期間の契約の勤務であっても、明らかに30日未満の契約ではない限りは、雇用保険に加入してもらうように会社に交渉し、退職時には離職票を必ず発行してもらうようにしましょう。

出典:『2015-2016「転職・退職」会社を辞める時の手続き完全ガイド』(日本実業出版社)

2015-2016 「転職・退職」会社を辞める時の手続き完全ガイド

『2015-2016「転職・退職」
会社を辞めるときの手続き完全ガイド』

日本実業出版社 編
A4変型判/並製 価格 1,512円(税込)
ISBN 978-4-534-60315-9

他人には聞けない転職・退職時の各種手続きについて、雇用保険、健康保険、年金、税金のパートごとにわかりやすく解説。

◆章立て◆
[わかってしまえば意外にカンタン!]すっきり辞める手続き一覧
[タイプ別・あなたはこうすればいい!]退職前後の手続きフローチャート
[これで安心!]あなたの疑問にズバリ答えるQ&A
PART1 [記載例つき!退職前後の手続き]雇用保険をしっかりもらおう
PART2 健康保険にカシコく入るコツ
PART3 年金で万一のときにも備えよう
PART4 税金を払い過ぎたら取り戻そう
特別記事 転職・退職のテクニック

▼連載「派遣&契約社員の転職・退職のポイント」
著者 : 井寄 奈美<いより・なみ>(特定社会保険労務士) 井寄事務所代表。2001年、社会保険労務士試験合格。06年に事務所開設。「経営者も社員も幸せになれる会社つくりのお手伝いをすること」を 自分のミッションとして、従業員のモチベーション向上につながる職場環境の整備を念頭に置いた中小企業の支援に力を注いでいる。
【WEBサイト】なにわの社労士井寄奈美/社会保険労務士/井寄事務所
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