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事務ごよみ【経理・税務】

9月の事務ごよみ

[ 2021年9月号 月刊「企業実務」編集部 ]

3月決算の会社では、9月までの上期の実績を踏まえて、年度収支計画とその進捗状況を検討します。

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期央での収支計画の見直し

 3月決算の会社では、9月までの上期の実績を踏まえて、年度収支計画とその進捗状況を検討します。新型コロナウイルスの影響から、売上・利益とも計画どおりとなっていないケースも多いと見られるため、計画そのものを見直す必要があるかもしれません。

 経理部門では、月次決算の実績・関連資料、景気見通しや業界動向などの各種データを揃え、現実的な落としどころを探りたいところです。

 また、売上が落ち込んでいても、極力、利益を確保するための対策を優先しましょう。利益確保のためには、採算分析が欠かせません。製商品・得意先ごとの売上や利益への貢献度を検討しましょう。

 全社的な経費では、事務機器賃借料、事務用品費、諸会費、慶弔費など1つひとつを点検し、冗費圧縮に向けて取り組むことが大切です。

 74ページでは、年度下期に向けて経営計画を見直す際の勘どころを紹介しています。

資金繰り計画の策定

 下期の製造・販売計画に基づいて、年末、年度末までの資金繰り計画を策定します。特に年末は、歳末セールや賞与の支給などもあるため、資金手当てには注意しなければなりません。

 上半期、新型コロナの影響で業績が落ち込んでいる場合は、キャッシュフローを改善させるための方策に注力しましょう。

 借入が必要になる場合は、金融機関に対し、早めに金額と時期を伝えましょう。「資金繰り表」「返済計画表」「業況説明書類」は、借入申込みに際して欠かせない資料です。

 社内的には、収支計画などと対比させながら、何に資金を優先的に充当するかをチェックします。あわせて取引先の信用管理を徹底し、売掛金の完全回収に努めましょう。

レクリエーション費などの経理処理

 毎年、秋にレクリエーションを予定している企業も、新型コロナウイルス感染症の影響から、実施を見送ったり、規模を縮小して実施する企業が多いかもしれません。それでもレクリエーションを実施する場合は、万全な感染症対策が求められます。

 会社が支出した社員のレクリエーション費用は、原則として「福利厚生費」として処理します。ただし、金額や使途によっては、税務調査などで問題になる可能性もないとはいえません。実施内容やスケジュールに関する資料は確実に保存しておきましょう。

 また、夏から秋にかけては、地域の祭りや各種イベントが催されます。こうした行事などに対して支出した協賛金などの扱いにも注意を要します。

被災時の優遇税制の確認

 9月1日は「防災の日」です。地震や火災、風水害など、非常時に対する備えを再確認しておきましょう。

 会社や工場が被災して損害を被った際は、納税の猶予など、税制上の優遇措置が活用できます。

 災害により申告・納付等をその期限までにできないとき(交通途絶等)は、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、その理由のやんだ日から2か月以内の範囲でその期限の延長を受けられます。手続きは、期限が経過した後でも行なえますので、被災の状況が落ち着いてから、最寄りの税務署に相談してください。

 また、個人の住宅や家財などが被災した場合には、その被害額は雑損控除の対象として一定額の所得控除を受けられます。被害額が資産の50 %以上のときは災害減免法の対象ともなり、有利なほうを選択適用できることを、社員にアドバイスしておきましょう。

 28ページには、自然災害で被災した際に利用できる優遇税制をまとめていますので、参考にしてください。

中間決算棚卸の実施

 帳簿に記載された在庫と実際の在庫数量は本来一致しているべきものですが、盗難、紛失、記帳ミスなどの理由から差異が生じることがあります。

 そこで、定期的に実地棚卸を行なう必要があります。一般的には決算期末に実施しますが、3月決算の企業が中間決算に際して棚卸を行なう場合は、9月中に実施することになります。

 作業範囲、数え方、棚卸表への記入方法を担当者に前もって指示し、その理解度を確認しておくなど事前準備を万全にして効率よく進めましょう。

税務調査への対応

 秋は新事務年度の方針に基づいて、税務調査が本格化する時期です。

 常日頃から正しい処理をしていれば、過度に恐れることはありません。税務調査の打診があったときは、きちんと説明できるよう準備しましょう。

新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置

 現在、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律等により実施されている税制上の措置として、以下のようなものがあります。

・令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する事業年度に生じた青色欠損金について、欠損金の繰戻しによる還付制度の特例

・テレワーク等のための中小企業の設備投資税制

・文化芸術・スポーツイベントを中止等した主催者に対する入場料等の払戻請求権を放棄した観客等への寄附金控除の適用

・消費税の課税選択の変更に係る特例

・特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税

 詳しい要件等については、国税庁のHPで確認してください。

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