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これからの法改正の動き

厚生年金の適用拡大を検討

[ 2018年10月号 月刊「企業実務」編集部 ]

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 厚生労働省は、厚生年金保険の要件などを緩和し、パートタイマーなど短時間労働者の適用対象を拡大する検討に入りました。

現行の厚生年金加入要件

 厚生年金に加入義務があるのは、週労働時間が30時間以上の人のほか、2016年10月からは、

①週労働時間20時間以上
②月額賃金8万8000円(年収換算で約106万円)以上(所定労働時間や所定内賃金で判断し、残業代等を含まない)
③勤務期間1年以上の見込み
④学生は適用除外
⑤従業員501人以上の企業等(適用拡大前の基準で適用対象となる労働者の数で算定)

などの要件を満たす短時間労働者にも適用拡大されています。

 また、2017年4月からは、前記①~④の条件のもと、500人以下の企業等については、労使合意に基づいて、厚生年金への加入が可能になっています。

規模要件・賃金要件を緩和へ
 厚生労働省としては、働きたい人が働きやすい環境を整えるとともに、短時間労働者について、年金等の保障を厚くする観点から、被用者保険(年金・医療)の適用拡大を進めるとしています。

 一方で、年金財政の安定化を図るためにも、企業の規模要件や賃金要件を緩和して、適用対象を広げたい考えです。

 前回の改正では賃金要件を月額7万8000円として改正案を提出したものの、国会の場で月額8万8000円に決着した経緯があります。

 いまのところ、賃金要件を月額5万8000~6万8000円に引き下げる案が浮上していますが、紆余曲折が予想されます。

 来年は5年に1度行なわれる財政検証の年に当たり、年金財政の健全性がチェックされます。厚生労働省は、検証結果を踏まえて来年9月までに改正案をまとめ、2020年度の法改正を目指します。

小売業からの反発も

 加入対象者が拡大されれば、働く側は老後の年金が増額されるメリットがありますが、保険料は労使折半となるため、企業の負担が重くなります。

 このため、パートタイマーなど短時間労働者を多く雇用する小売業や中小企業などからの反発も予想されます。

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