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これからの法改正の動き

ESG投資等を踏まえた不動産特定共同事業法の見直し

[ 2020年6月号 月刊「企業実務」編集部 ]

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 小口の資金を集めて不動産投資を行ない、その収益を分配する不動産特定共同事業は、全国の空き家・空き店舗の再生手段として期待されています。

 また、環境、社会、ガバナンスへの配慮を重視する「ESG投資」の拡大やクラウドファンディングの活用など、不動産投資市場における新たな潮流が見られます。

 そんななか、国土交通省は「ESG投資を踏まえた不動産特定共同事業等検討会」を設置し、投資家保護の観点を踏まえた規制のあり方や今後の施策の方向性について議論を重ねてきましたが、このたびその中間とりまとめが策定されました。

1 不動産特定共同事業の適切なガバナンスの確保

 次のような検討課題と今後の取組みの方向性が示されています。

①不動産特定共同事業法の対象とすべき区分所有不動産投資契約を規定する

②不動産特定共同事業におけるLPS(投資事業有限責任組合)の活用可能性を検討するうえで、LPSの投資対象として不動産を含めることの具体的メリットや、活用手法等に関する議論を開始する

③広告において、事業者の名称、許可(登録)番号、商品リスク等の記載をすることを含め検討するとともに、国土交通省ホームページ等において不動産投資における注意喚起を実施する

④特例事業の一般投資家制限を一定程度まで緩和することが可能か

2 不動産と社会の関わりを捉えた規制の適正化

 次のような検討課題と今後の取組みの方向性が示されています。

①不動産に付随した収益でありながら、不動産取引以外から得る収益を分配する場合に、不動産特定共同事業法に該当するか否かについて、個別事例を検証したうえで、事業者にとって紛らわしくない解釈を示し、公開する

②1号事業における財産管理報告書の記載事項として、他業実施状況を加える

③特例事業者が行なうことができる事業の範囲について、「不動産特定共同事業の監督に当たっての留意事項について」における例示を追加する

④ESG情報の開示に積極的に取り組む事業者に参考となるよう、ESG情報の開示に関するガイダンスを策定する

3 トークンの取扱い

 金融商品取引法の改正によって、不動産特定共同事業でもトークン(様々な資産をデジタル化したもの)を活用した事業が展開される可能性があります。そこで各国の最新動向を把握する一方、トークン発行による資金調達に必ずしも限定せず、不動産に係る新技術の動向について、投資家保護・適切な投資促進のために必要な制度的措置を順次実施することが示されています。

 国土交通省はこのとりまとめを受け、今年度前半をめどに制度改正案を作成するスケジュールを示しています。

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