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これからの法改正の動き

注目される雇用保険制度の見直し

[ 2021年11月号 月刊「企業実務」編集部 ]

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 労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会がこれからの雇用保険制度についての議論を進めています。

示されている論点

 9月8日の会議で資料として示された「雇用保険部会の主な論点(案)」では、今後の議論に際しての主な論点として、

・財政運営(保険料率、国庫負担等)
・給付の暫定措置等の在り方
・新型コロナウイルス感染症への対応
・その他(基本手当、求職者支援制度その他各種給付の在り方)

という案が示されています。

 いちばんの問題は財政運営です。新型コロナウイルス感染症の感染拡大下における特例措置によって、雇用調整助成金のみでも2020年度だけで2兆9,411億円を支出しており、支援のための支出はリーマンショック期よりもはるかに高い水準で推移しています。

負担の抑制も限界に

 いっときは積立金が6兆円を超えるなど、財源に余裕があったことから、失業給付等に対する国庫負担率は暫定的に引き下げられ、失業等給付に係る雇用保険料率についても低い水準に抑えられてきました。

 しかし、新型コロナの影響でその状況は一変しました。

 2020年度から2021年度にかけては、休業手当を受けることができない労働者に関する新たな給付制度を設けるなどの支援策を拡充するとともに、「雇用保険制度の安定的な財政運営を確保する」という理由から、臨時特例法によって、新型コロナ対応休業支援金、雇用調整助成金に要する費用の一部を一般会計から繰り入れる等の措置を講じていたりもしています。

 国庫負担について2007年度から続く暫定措置を廃止して速やかに本則に戻したいという動きは以前からありましたが、新型コロナ対応による昨今の財源不足は深刻です。

 たとえば、失業等給付関係の収支状況(前年度決算を反映した後の予算)をみると、2021年度の収入から支出を差し引くと1兆3,486億円のマイナスです。

 そのような状況下で、今年度中に関係法令が改正され、来年度からの保険料率の引上げが行なわれる可能性は高そうです。

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