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これからの法改正の動き

民法(親子法制)等の改正に関する要綱案が明らかに

[ 2022年4月号 月刊「企業実務」編集部 ]

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 民法822条に「親権を行う者は、監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる」と定められていることが、児童虐待の正当化につながっているのではないかという指摘があります。

 また、離婚から300日以内に生まれた子は前の夫の子と推定され、再婚した女性がそれを避けようと出生届を出さず、戸籍のない子が生じるなどの問題が生じています。

 そうした問題に対処するため、法制審議会民法(親子法制)部会によって、民法(親子法制)等の改正に関する要綱案がまとめられました。

懲戒権に関する規定の見直し

 「懲戒権」が削除され、親権を行なう者は「監護及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、子の年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない」という規律を設けます。

嫡出の推定の見直しおよび女性に係る再婚禁止期間の廃止

1 嫡出の推定の見直し

 妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定します。女が婚姻前に懐胎した子で、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とします。

 離婚から300日以内に生まれた子は元夫の子と推定しますが、再婚した場合は現夫の子と推定します。

2 女性に係る再婚禁止期間の廃止

 現行法は女性が妊娠している場合に元夫と元夫の推定期間の重複を避けるため、離婚後100日間は再婚を禁じていますが、嫡出の推定の見直しによって重複がなくなるため、再婚禁止期間が廃止されます。

嫡出否認制度に関する規律の見直し

 これまで父親にだけ認められていた「嫡出否認」の権利を子やその親権を行なう母にまで広げ、嫡出推定で決まった父子関係を否定する訴えを提起することができるよう見直します。

 また、嫡出否認の出訴期間については、出生もしくはそれを知ったときから原則3年以内に延長するほか、子は、一定の要件を満たした場合に限り、21歳に達するまでの間、嫡出否認の訴えを提起できるようになります。

第三者の提供精子を用いた生殖補助医療により生まれた子の親子関係に関する民法の特例に関する規律の見直し

 妻が、夫の同意を得て、夫以外の男性の精子を用いた生殖補助医療により懐胎した子については、夫、子または妻は、その子が嫡出であることを否認することができないこととします。

 要綱案ではこのほか、認知の無効に関する規律等の見直し等が提言されています。

 政府はこの要綱案をもとに改正法案を作成し、秋の臨時国会以降に審議する予定です。

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