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これからの法改正の動き

解雇無効時の金銭救済制度に関する法技術的論点の整理

[ 2022年6月号 月刊「企業実務」編集部 ]

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 解雇の有効性が争われ、不当な解雇が裁判で無効と認められても実際には職場復帰がむずかしいことが多い現状から、検討されているのが金銭を支払って雇用契約を解消する「解雇の金銭解決制度」です。

 その検討の一環として、厚生労働省の「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」が、報告書をまとめました。

 この報告書では、無効な解雇がなされた場合に、労働者の請求によって使用者が一定の金銭(労働契約解消金)を支払い、その支払いによって労働契約が終了する仕組みを念頭において、取り得る仕組みや検討の方向性等に係る選択肢等が示されています。

制度の対象等

 権利の法的性質等として、(1)対象となる解雇・雇止め、(2)権利の発生要件等、(3)権利行使の方法、(4)債権発生の時点、(5)権利行使の意思表示の撤回等、(6)権利放棄、(7)相殺・差押えの禁止、(8)権利行使期間、(9)権利の消滅等、(10)解雇の意思表示の撤回、について検討されています。

 この制度の対象となるのは、無期労働契約における無効な解雇と、有期労働契約における無効な契約期間中の解雇および労働契約法19条に該当する雇止めとすることが考えられるとされています。

 権利行使の方法は、訴えの提起および労働審判の申立てに限ることが考えられるとされています。

労働契約解消金の性質

 労働契約解消金の定義をどのように定めるかは、その性質や考慮要素等の検討とも関連しており、政策的に判断すべきとしています。

 労働契約解消金債権は、バックペイ、不法行為による損害賠償、退職手当の各債権とは別個のものと整理し得るとされています。

 労働契約解消金の考慮要素については、定型的なものである給与額、勤続年数、年齢、合理的な再就職期間などと、評価的なものである解雇に係る労働者の事情、解雇の不当性といったものが考えられるとしています。

 また、労働契約解消金の上下限の設定や、労使合意による別段の定めを認めるかについては、政策的に判断すべきとしています。

 この制度導入の是非について、今後、労使関係者も含めた労働政策審議会において議論が進められる予定です。

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