厚生労働省の労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会が、雇用保険制度の見直しの方向性についての報告書をまとめました。
報告書で示された見直し事項は多岐にわたっています。
雇用保険制度の適用拡大
週の所定労働時間が20時間以上の雇用労働者を適用対象としている雇用保険制度について、週所定労働時間が10時間以上の労働者にまで拡大すべき、としています。
自己都合離職者の給付制限期間の短縮
正当な理由がなく、自己の都合により離職する者に対する基本手当の給付制限について、現行の2か月から1か月へと短縮すべき、としています。
ただし、5年間で3回以上の正当な理由のない自己都合離職の場合は、給付制限期間3か月を維持すべき、ともしています。
専門実践教育訓練給付金の拡充
現行の資格取得等を実現した場合の追加給付に加え、教育訓練の受講前後を比べ、賃金が一定(5%)以上上昇した場合には、現行の追加給付を受けていることを前提として、さらに受講費用の10%(年間上限8万円)を追加で支給すべき、としています。
教育訓練中の生活を支えるための給付や融資制度の創設
雇用保険被保険者が教育訓練を受けるための休暇を取得した場合に、訓練受講を支援するため、新たに教育訓練休暇給付金(仮称)を支給することとし、教育訓練給付の1つとして位置づけたうえで、令和7年度中に実施すべき、としています。
育児休業給付の給付率の引上げ
子の出生直後の一定期間内に、被保険者と配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する場合の給付率を最大28日間、手取りで10割相当まで引き上げるべき、としています。
育児時短就業給付(仮称)の創設
被保険者が2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合の新たな給付として、令和7年度から、育児時短就業給付(仮称)を創設することとすべきである、としています。
厚生労働省はこの報告書の内容を踏まえ、雇用保険関連法案の作成を進める予定です。