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多くの企業で対応が進まず

来年1月から始まるマイナンバー制度に中小企業はどう備えればいいのか?

[ 企業実務オンライン編集部 ]

中小企業のマイナンバー制度への対応がなかなか進まない。その背景にあるのは、まず制度そのものの認知不足、そしてヒト・カネの問題だ。個人番号の通知開始まで4か月を切ったいま、中小企業はマイナンバー制度開始に向けてどう対応すればいいのだろうか。

中小企業に的を絞ったマイナンバー支援サービスも登場

 人事・労務の総合コンサルタント事業を手がけるブレインコンサルティングオフィスは、4月下旬から企業の実務担当者に向けて「マイナンバー実務安心パック」の販売を開始した。
 マイナンバー対応に必要な業務フローと規程・書式、社員研修用のDVD等をパッケージ化したもので、実務をよく知る社会保険労務士がマイナンバー対応に必要な業務を洗い出し、“会社の実務”レベルにまで落とし込んでマニュアル化したところに特徴がある。これがあれば、「マイナンバー対策を自社内ですべて完結できる」(同社)ように開発した商品だ。

 また、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A—SaaS(エーサース)」を運営するアカウンティング・サース・ジャパンでは、税理士・中小企業支援に特化した「クラウドマイナンバー事業」を立ち上げている。

 マイナンバー制度では、特定個人情報(マイナンバーをその内容に含む情報)を扱う事業者には、法令や特定個人情報保護委員会が作成したガイドラインに沿って安全管理措置を講じることが義務づけられており、違反すれば罰則がある。しかし、中小企業にとってマイナンバー制度に対応した体制を構築することは、人的・予算的制約からハードルが高い。これは、事業者から税務関係書類の作成を委託される税理士にとっても同様である。

 自社でセキュリティ体制を構築できない中小企業に対し、「社内にマイナンバーをもたない管理方法」として、クラウドサービスの利用を提案する専門家もいる。

 同社では「クラウドマイナンバー事業」を通じ、税理士・中小企業からマイナンバーが漏洩するリスクを低減し、新たにマイナンバー管理サービス「マイナセキュリティ」を開発するなど運用サポートを行っていくという。

マイナンバーを機に中小企業も個人情報管理体制の強化を!

 中小企業の経営者や人事・総務担当者と話すなかで、「法律家によるマイナンバー対応支援の必要性を痛感した」という藥師神弁護士。恵比寿南法律事務所では現在、マイナンバー制度に対応するための短期顧問契約(9か月)を受け付けている。

 「小さな会社がガイドラインで求められる安全管理措置をそのまま講じようとすると、一見、大変な負担になるようにみえます。しかし、一定の中小規模事業者には特例としてより軽い対応が認められておりますし、企業に無理を強いるものではありません

 条文やガイドラインにいう「必要かつ適切な措置」は、個別の事案で違ってくる、と藥師神弁護士はいう。さらに、

 「マイナンバー制度に対応するには、まず、社内の個人情報等の取扱いをきちんと整備することからスタートする必要があります。このベースがきちんとできている会社であれば、マイナンバー制度への対応もそれほど難しくはないでしょう」

 そもそもマイナンバー法は、個人情報保護法の特別法である。
 現在、母体である個人情報保護法の改正が進められており、特定個人情報の取扱いを管理・監督する機関である「特定個人情報保護委員会」は「個人情報保護委員会」に改組される見通しだ。

 「個人情報の有効利用を促進する反面、漏洩リスクを抑えるため、個人情報等を扱う企業への管理・監督は強化されていく方向にあります。マイナンバー制度の開始は、社内の情報管理体制を考える絶好の機会ともいえます」(藥師神弁護士)

藥師神氏執筆記事(マイナンバー関連)

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