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政府系金融機関の各種貸付ガイド 第1回

苦しいときこそ頼りになる日本政策金融公庫のセーフティネット貸付

[ 森 大志<もり・たいし>(税理士)]

政府系金融機関とは、国の支援策を金融面から推進する機関です。低利、長期、固定金利など中小企業にとって有利な条件での融資制度も少なくありません。取引金融機関のひとつとして考えたいところです。ここでは、日本政策金融公庫と商工中央金庫(商工中金)の貸付制度を紹介します。

苦しいときこそ頼りになる日本政策金融公庫のセーフティネット貸付

日本政策金融公庫が行う各種貸付制度とは

 日本政策金融公庫とは、平成20年10月、政府系金融機関の国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫、そして国際協力銀行の国際金融部門を統合して設立されました(国際協力銀行は平成24年4月に分離独立しています)。

 国民生活金融公庫が行っていた業務は国民生活事業として、中小企業金融公庫が行っていた業務は中小企業事業として、そして農林漁業金融公庫が行っていた業務は農林水産事業として引き継がれていますから、国民一般、中小企業から農林水産業者まで幅広く対応する金融機関といえます。

・国民生活事業の貸付制度

 個人事業者や小規模企業を対象に小口資金(数百万~数千万円)を貸し付けます。

・中小企業事業の貸付制度

 中小企業者を対象に数千万~数億円を貸し付けます。比較的規模の大きな中小企業者に融資を行っています。

・農林水産事業の貸付制度

 農林漁業者と食品製造等の事業者に融資を行っています。

日本政策金融公庫のセーフティネット貸付

 セーフティネット貸付は、リーマンショックのような内外の金融秩序の混乱や東日本大震災のような大規模な災害に対応した貸付制度です。このような危機的な状況下では、民間金融機関では対応が難しいのが実情です。日本政策金融公庫の貸付制度のなかでも、最も多く利用されている制度です。

 セーフティネット貸付には、「経営環境変化対応資金」「金融環境変化対応資金」「取引企業倒産対応資金」があります。

経営環境変化対応資金の利用要件

 セーフティネット貸付のうち経営環境変化対応資金は、リーマンショックのような世界的な経済危機に対応して創設された制度なので、要件に該当すればほとんどの企業が融資を受けられます(当然ですが、審査はあります)。というのも、この制度は本来は民間の金融機関からの融資を受けられないような経営状況(業績悪化)の企業に貸し出すためのものだからです。

 利用できるのは、「社会的、経済的環境の変化等外的要因により、一時的に売上の減少等業況悪化をきたしているが、中長期的にはその業況が回復し発展することが見込まれる」企業です。実際には、「中長期的にはその業況が回復し発展することが見込まれる」企業という条件も、状況によってかなり柔軟な対応がなされます。

 融資期間については、設備資金15年以内(据置期間3年以内)、運転資金8年以内(据置期間3年以内)と長期です。低金利、固定(条件により変動)で借り入れることができます。

 融資限度額については、国民生活事業は 4,800 万円以内、中小企業事業は 7億2,000 万円以内となっています。

 日本政策金融公庫では、セーフティネット貸付の他にも、民事再生法の規定による再生手続き開始の申し立て等を行った事業者が利用できる企業再生貸付や、災害により被災した中小企業が利用できる災害復旧貸付などがあります。

会社の危機時に対応する日本政策金融公庫の主な貸付制度(中小企業事業の例)
融資制度 対象 融資限度額 融資期間
(うち据置期間)
セーフティネット貸付
経営環境変化対応資金 売上が減少するなど業況が悪化している企業 7億2,000万円 設備資金:
15年以内(3年以内)
運転資金:
8年以内(3年以内)
金融環境変化対応資金 金融機関との取引状況の変化などにより、資金繰りに困難を来している企業 別枠3億円 設備資金:
15年以内(3年以内)
運転資金:
8年以内(3年以内)
取引企業倒産対応資金 取引企業などの倒産により経営に困難を来している企業 別枠 1億5,000万円 8年以内(3年以内)
企業再生貸付
事業再生支援資金 <アーリーDIP>
民事再生法の規定による再生手続開始の申立て等を行った企業
<レイターDIP>
民事再生法に基づく再生計画の認可決定等を受けた企業
7億2,000万円
(うち運転資金
2億5,000万円)
<アーリーDIP>
1年(1年以内)
<レイターDIP>
設備資金:
10年以内(2年以内)
運転資金:
5年以内(2年以内)
企業再建資金 経営改善または経営再建等に取り組む企業など 7億2,000万円 設備資金:
20年以内(3年以内)
運転資金:
15年以内(3年以内)
その他の融資制度
災害復旧貸付 別に指定された災害により被害を被った中小企業 別枠1億5,000万円 設備資金:
10年以内(2年以内)
運転資金:
10年以内(2年以内)
東日本大震災復興特別貸付 東日本大震災により被害を受けた企業 別枠7億2,000万円
別枠 3億円
設備資金:
20年以内(5年以内)
運転資金:
15年以内(5年以内)

※本記事は、月刊「企業実務」(2014年1月号)に掲載した「政府系金融機関の各種貸付の使い勝手をみる」を、2015年6月現在の情報に基づき、企業実務オンライン用に再構成したものです。

▼連載「政府系金融機関の各種貸付ガイド」

著者 : 森 大志<もり・たいし>(税理士) 専修大学法学部卒業。平成元年、森会計事務所(森大志税理士事務所)開設。「中小企業経営者を応援したい」という思いからスタートしたブログ「税理士森大志(もりたいし)のひとりごと」がネット界で一躍有名となり、「ジャパンブログアワード2008」のビジネス部門グランプリを受賞。
http://www.tabisland.ne.jp/aoinfo/kanto/mori/
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