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平成30年4月4日までの公布分

子育て世帯への支援強化を図る事業主拠出金の負担引上げ

[ 2018年5月号 月刊「企業実務」編集部 ]

平成30・3・31法律第12号=子ども・子育て支援法の一部を改正する法律

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 政府は、「少子化」や「待機児童」の問題に対して、社会全体で子育て世帯を支援していくとの大きな方向性のなかで、個人と企業が負担を分かち合う観点から、経済界に対しても応分の負担を求めています。

 子育て世帯への支援強化を図るため、「子ども・子育て支援法」の一部が改正されました。その主な改正内容は、次のとおりです。

事業主拠出金の率の上限の引上げ

 待機児童対策として平成28年度に新設された企業主導型保育事業では、企業の従業員向けに、延長・夜間・土日・短時間等の利用に対応するなど多様で柔軟な保育サービスを提供できる「企業主導型保育所」の設置を推進しています。

 整備や運営にかかる費用については、助成金が充てられていますが、その財源には一般事業主から厚生年金保険料等と併せて徴収する事業主拠出金の一部が充てられています。

 事業主拠出金の拠出金率の上限について、社会保険料の標準報酬の0.25%から0.45%へ引き上げられました。この措置により、平成30年度の拠出金率が0.29%に改定されています。

事業主拠出金の充当対象の拡大

 内閣府は待機児童解消に向けて、次のような「子育て安心プラン」を公表しています。

【子育て安心プラン】

①待機児童の解消
 東京都をはじめ待機児童解消に意欲的な自治体を支援するため、待機児童解消に必要な受け皿約22万人分の予算を平成30年度から平成31年度末までの2年間で確保(遅くとも平成32年度末までの3年間で、全国の待機児童を解消)。

②5年間で「M字カーブ」を解消
 結婚・出産期の女性労働力率の低下を示す「M字カーブ」を解消するため、平成30年度から平成34年度末までの5年間で女性就業率80%に対応できる約32万人分の受け皿整備。

 この「子育て安心プラン」に基づき増加する保育の運営費に事業主拠出金を充てることを可能とする観点から、事業主拠出金の充当対象に子どものための教育・保育給付の費用(0歳~2歳児相当分に限る)が加えられました。

待機児童解消等の取組みの支援

 市区町村の待機児童解消等の取組みを支援するため、都道府県は関係市区町村等との協議会を組織できるものとされました。

 また、国は市区町村が行なう保育の量的拡充および質の向上を図る事業に対して支援できるものとされました。

 改正法の施行日は、平成30年4月1日です。

その他の新法令・通達

重要物流道路制度の創設

 道路管理の充実による安全性のさらなる向上と、物流上重要な道路網の機能強化等を図るため、占用物件の維持管理義務の規定、重要物流道路制度の創設等の措置が講じられました。
(平成30・3・31法律第6号=道路法等の一部を改正する法律)

税制改正関連法案が成立

 所得税法等の一部が改正され、給与所得控除の控除額の上限の引下げ、公的年金等控除の控除額の上限設定、基礎控除の見直し等が行なわれました。

 このほか、所得拡大促進税制の改組、租税特別措置の適用要件の見直し、事業承継税制の拡充、大法人の法人税等の電子申告の義務化など、一連の税制改正関連法案が可決・成立しています。
(平成30・3・31法律第7号=所得税法等の一部を改正する法律ほか)

公害健康被害者への補償給付等の継続

 著しい大気汚染の影響を受けた患者に対して補償給付等を実施するための財源確保のため、平成30年度以降も当分の間、自動車重量税の収入見込額の一部に相当する金額を環境再生保全機構に交付できることとされました。
(平成30・3・31法律第11号=公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律)

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