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事務ごよみ【人事・労務】

6月の事務ごよみ

[ 2022年6月号 月刊「企業実務」編集部 ]

被保険者の報酬が昇給等によって大幅に変動した場合は、定時決定を待たずに標準報酬月額が改定されます。これを「随時改定」といいます。

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健保・厚年の被保険者報酬月額変更届の提出要否のチェック

 被保険者の報酬が昇給等によって大幅に変動した場合は、定時決定を待たずに標準報酬月額が改定されます。これを「随時改定」といいます。

 新年度に入ってから定期昇給やベースアップ、または賃下げを行なった企業では、6月の給与支払い後、健康保険・厚生年金保険の被保険者報酬月額変更届の提出が必要か確認します。

 健康保険の最高等級に達する人や新入社員を除いて、次の3つの要件のすべてに該当する人が提出対象です。

(1) 昇給または降給があり、固定的賃金(基本給・役付手当・技術手当・住宅手当・家族手当・勤務地手当など)に変動があったこと

(2) 固定的賃金が変動した月から3か月間連続して、報酬の支払基礎日数が17日以上あること

(3) 該当する3か月間の報酬の平均月額が、従前の標準報酬月額と比べて2等級以上の差があること

 月額変更届は、7月中に所轄の年金事務所(あるいは健康保険組合)に提出し、8月に支払う給与から改定後の新保険料による徴収を開始します。

 ただし、2022年1月から6月までの間に新たに新型コロナウイルス感染症の影響による休業に伴い報酬が著しく下がった場合、健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額を、通常の随時改定(4か月目に改定)によらず、急減月の翌月を改定月とすることが可能です。この特例のケースに該当するのは、次の(1)から(3)のすべてに当てはまる場合です。

(1) 新型コロナウイルス感染症の影響による休業(時間単位を含む)があったことにより、2022年1月から6月までの間に、報酬が著しく下がった月が生じた場合

(2) 著しく報酬が下がった月に支払われた報酬の総額(1か月分)が、すでに設定されている標準報酬月額に比べて2等級以上下がった場合(固定的賃金の変動がない場合も対象となります)

(3) 本特例措置による改定内容に本人が書面により同意している場合

 なお、7月に入ると、すぐに報酬月額算定基礎届の提出事務(7月11日が期限)がありますから、早めに準備に取りかかりましょう。

夏季賞与額の決定と支給

 一般企業の場合、夏季賞与の支給日は6月から7月にかけて設定しているところが大半のようです。

 夏季賞与を支給する企業では、必要な資料を揃え、支給原資の検討や各人の考課・査定を進めてつつがなく支給ができるように準備を整えましょう。

 本誌では、直近の景気指標などを踏まえて、中小企業の今夏賞与の支給相場を予測しています。賞与支給額の検討材料としてください。

労働保険の年度更新手続き

 労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年の3月31日までの1年間(保険年度)を単位として、すべての労働者(雇用保険については被保険者)に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を乗じて算定されます。そのため、事業主は、前年度の確定保険料の精算と新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きが必要となります。これを労働保険の「年度更新」といいます。

 労働保険の年度更新手続きは、6月1日から受付が始まります。最終期限は7月11日ですが、6月中には目処をつけておきましょう。

 なお、ことしは4月から事業主負担の雇用保険の保険料率が変更となり、10月からは労働者負担・事業主負担の保険料率が変更になります。例年と異なり、年度の途中から保険料率が変更になりますので注意が必要です。詳しくは、厚生労働省のホームページ等で確認してください。

賞与からの健保・厚年の保険料控除

 6月に賞与を支給した事業所では、賞与から本人負担分の健康保険と厚生年金保険の保険料(40歳以上は介護保険料も)を控除します。

 また、賞与等の支給に際して「被保険者賞与支払届」を作成し、支給日から5日以内に、所轄の年金事務所(あるいは健康保険組合)に提出する必要があります。

 賞与に係る保険料は、被保険者負担分と会社負担分とを合わせて、納入告知書に従って、支給月の翌月末までに納付します。

来春新卒予定者の採用活動

 コロナ禍における企業の採用活動は3年目を迎えましたが、いまだに試行錯誤が続いています。オンラインによる説明会・面接の実施などだけでなく、秋採用にも力を入れるなど、選考期間の調整といった柔軟な対応が求められます。

 また、来春の中学・高校卒業予定者の採用を考えている企業では、所轄のハローワークで日程などを確認しておきましょう。

新入社員のフォロー

 長期雇用を前提に社員を採用する際には、適性判断のため、3か月程度の試用期間を定めている企業が多いでしょう。4月入社の新入社員の場合は、7月から正式採用となります。
 正式採用にあたって、フォローアップの研修や、社長や役員との面談などを考えたい時期です。離職を防ぐためにも丁寧にフォローしましょう。

高年齢者雇用状況報告書・障害者雇用状況報告書の提出

 これらは毎年6月1日現在の高年齢者、障害者の雇用状況(役員・兼務役員を除く)を報告するものです。
 いずれも、ハローワーク等に対して原則7月15日までに提出(郵送または電子申請)します。
 ただし、新型コロナによる影響や地域ごとの事情によっては、期限が変更される可能性がありますので、ホームページ等で確認しておきましょう。

外国人労働者の雇用等への取組み

 厚生労働省は、例年6月を「外国人労働者問題啓発月間」とし、外国人労働者の就労環境の改善等に取り組んでいます。外国人労働者は、派遣や請負の就労形態での雇用が多く、なかには労働・社会保険関係法令等が守られていないケースもあります。
 外国人を雇用する企業は、この機会に、自社の就労条件等について確認しておきましょう。

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