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ミスマッチを防ぐ

欲しい人材を採用するための「面接」準備・環境の整え方

[ 藤井 恵介<ふじい・けいすけ>(特定社会保険労務士)]

入社して1年以内に退職する人の多くは「仕事があわない」「人間関係がよくない」など“ミスマッチ”が原因といわれます。月刊「企業実務」2016年5月号では、そうしたミスマッチを防ぐ採用面接のポイントを紹介しています。

欲しい人材を採用するための「面接」準備・環境の整え方

その採用は、本当に必要か?

 そもそも会社は、何のために人を雇うのでしょうか。

 「欠員が出たから」「業務が多忙で人手が足りないから」など、それぞれの事情があると思いますが、本来の目的は「経営計画の達成」です。それを実現するには、いまの人員だけでは難しいので、新たな人材を採用するのです。

 とはいえ、人材は会社経営の中でも最も大きな“買い物”のひとつであり、費用も手間もかかります。ここは原点に返り、

 本当に採用しなければならないのか?

 慎重に検討することも必要です。

 たとえば、派遣社員や契約社員、パートタイマーで対応が十分可能なこともあれば、アウトソーシングを活用したほうが効果的なこともあります。さらに、欠員募集なら、業務の効率化や配置換えで対応可能なこともあるでしょう。

 こうした選択肢を検討したうえで、やはり人材が必要ならば、募集に踏み切ることになります。

担当者が陥りがちな採用面接の落とし穴

 人材採用をする場合、各種の求人媒体などで募集をかけ、応募者に対して面接や筆記試験を行うのが一般的な流れですが、入社後のミスマッチを防ぐには、面接のやり方が非常に重要です。

 下に、採用面接で陥りやすい事柄をまとめました。

①思いつきで面接をしている
・必ずすべき質問項目を抜いたり、質問項目が偏る
・同じような質問を繰り返す
・自分の聞きたいことを思いつきで質問する
・表面的なことだけ聞き、質問を掘り下げない

②主観的で偏った評価になってしまう
・一部の印象や情報だけで全体を過大・過小評価する
・面接者の偏見・先入観で評価してしまう
 例:経理部にいたらか数字に強く、緻密だろう
・「可も不可もない」評価が多い
・過剰防衛反応をしてしまう
 例:同じようなタイプの応募者を拒絶してしまう

③面接がシステム化していない
・面接のたびに質問内容や面接方法が変わる
・面接担当者の間で、採用基準・評価方法などのコンセンサスが取れていない
・面接担当者のレベルアップを図っていない

 まずは、これまでの自社の面接方法に問題はなかったかどうか、検証してみましょう。

 ここにあげたような面接を行っている限り、採用した社員との間のミスマッチはなかなか防げません。これが、定着性の悪さにもつながっていきます。

「求める人物像」は具体的か

 採用活動は、「求める人物像」を明らかにすることから始まります。そして、その人物像を具体化するため、必要な能力要件を設定しますが、求人票なども、この要件に合わせて作ることで、面接の前段階において応募者を絞り込みやすくなります。

■能力要件の設定例
  • 個人的能力…向上心・イニシアティブ・誠実性・忍耐力・バイタリティ・興味の幅 など
  • 対人・コミュニケーション能力…リーダーシップ・柔軟性・協調性・交渉力・自主性・把握力・表現力 など
  • 意思決定、業務管理能力…分析力・判断力・決断力・創造力・計画組織力 など

 面接では、これら要件に関する情報を応募者から引き出すための質問をしていくことになります。

面接の「環境」を整える

 せっかく「この会社で働きたい」と思ってくれた応募者も、職場の環境や面接官の態度などを見て、応募を取り下げてしまうケースは少なくありません。

 面接はいわば、会社と応募者の「お見合い」です。

 会社が「この人は仕事ができるのか」「長い間勤めてもらえるのか」と応募者を見極めようとする一方で、応募者も「この会社は大丈夫だろうか」「社内の雰囲気はどうか」と考えを巡らせます。

 初めて会う人同士の腹の探り合いが行われる場であり、応募者を会社が面接するだけではなく、会社も応募者によって面接されているのです。

 また、既存の社員にとっては毎日見慣れた環境でも、来社した応募者にとっては初めて見る光景です。社内の清潔さ、整理整頓、社員の活発さ、雰囲気などを敏感に察知するということも心に留めて、面接の場を準備したいものです。

「面接チェックシート」を使って客観的評価を

 面接終了後は、自社の採用基準に基づき、面接に当たった各担当者の評価をすり合せて採否を決定することになりますが、これは、できるだけ客観的に行われることが理想的です。
 しかし、評価方法が曖昧な場合、面接では多くのことを話したつもりでも、まったくポイントがずれていたり、求める人物像とは関係のない質問ばかりしてしまうことがよくあります。

 また、面接時に単にメモをとるだけでは、担当者によって質問内容が偏ったり、各自の偏見や先入観による評価の差が出やすく、判断の誤りにつながりかねません。

 そこで、設定した能力要件をベースに面接チェックシートを作成しておきましょう。そのシートに記入しながら面接を進め、終了時にはできるだけ多くの項目が記入されているようにします。

 選考のプロセスが合理化され、応募者から得られる情報のバラツキも減るため、客観的な比較・検討がしやすくなります。

 月刊「企業実務」2016年5月号では、面接チェックシートの書式例具体的な面接の進め方質問のコツなどを解説しています。

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ミスマッチを起こさない採用面接の勘所(月刊「企業実務」2016年5月号)
著者 : 藤井 恵介<ふじい・けいすけ>(特定社会保険労務士) 名古屋の食品メーカーを経て、1999年、京都の半導体メーカーに転職。人事部で主に理科系新卒の採用担当として、年間200人を採用した経験を持つ。2005年、社会保険労務士事務所を開業。労務コンプライアンスに関するコンサルティングや、各種セミナー等の講師としても活躍中。
社会保険労務士法人ミライガ
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