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新人経理担当者のための仕事術 第3回

会社規模に応じて伸び縮みする経理担当者の守備範囲

[ 村井 直志<むらい・ただし>(公認会計士)]

「経理」という仕事はじつに奥深く、会社の根幹を支える大事なものです。本連載では、「豆を仕切れる人」になるために、これだけはぜひ知っておいてほしい経理担当者のリテラシーについてお伝えしていきます。

新人経理担当者のための仕事術

経理業務の全体像を把握しよう

 経理は経営の根幹に触れる仕事なため、その業務はじつに多彩です。そこで新人経理担当者の皆さんは、まず、自社の経理業務の全体像を理解しましょう。
 そうすることが、実務知識を習得するうえで大いに役立ちます。

 一般に、経理の仕事は大きく次の3つに分けることができます。

①計数管理(けいすうかんり)

 日々の記帳業務に始まり、月次決算(経営状況を把握するため毎月実施する決算)を経てこれを12か月分集計し、会計決算業務(会計制度に基づいて行う決算)をこなし、確定した決算書に基づいて税務申告(法人が納税すべき税額を確定するために行う申告手続き)をして納税する――。
 これが基本になります。

②資金管理

 ビジネスは、キャッシュ・フロー(お金の流れ)をどのように管理するかがポイントです。黒字倒産という言葉があるように、キャッシュという“会社の血液”が回らなくなれば、倒産することも珍しくありません。
 それほど資金管理は重要な経理業務といえます。

経理の仕事は大きく次の3つに分けることができます

③経営管理

 「経理」の語源である「経営管理」の善し悪しが、ビジネスの発展に影響します。
 “強い会社”は、過去を反省し、現状を的確に把握し、将来を見通すことに優れ、どんな環境でも経営できる知恵をもっています。

 経営することを英語で manage といいますが、この単語には「何とかする」という意味もあります。経営管理には、

「どんな経営環境にあっても会社を何とかする!」

 そうした意味が含まれているのです。

小さな会社ほど経理担当者の守備範囲は広くなる!

 経理の仕事は、会社の規模で守備範囲が伸び縮みします。大規模な会社であるほど業務内容は細分化され、小規模であるほど担当する業務の範囲が広がります。

 たとえば大規模な会社の場合、前述した3業務のうち、資金管理は財務部、経営管理は経営企画部が担当することがあります。
 また、給与計算は人事部総務部が、原価計算は、製造部工場経理部が担当することもあるというように、組織の規模が大きくなるほど、業務が細分化される傾向があります。

 一方、小さな会社になると、経理担当者が総務担当も兼ね、まさに“何でも屋”として会社を切り盛りしているケースもあるでしょう。

 どちらにせよ大事なのは、経理業務の全体像を把握したうえで、自分の仕事の位置づけを理解して必要な実務知識を身につけることです。

 ちなみに、業務プロセスの見直しや、会社経理システム規程類の管理も経理担当者の守備範囲です。粉飾や横領、贈収賄などの不正会計事件があれば、第一線で対応するのも経理部になります。

 経理担当者としての視野を広くもち、必要な実務知識を適宜習得することが、経理を極めるポイントです。

▼連載「新人経理担当者のための仕事術」

本記事は、『即戦力になる!基本が身につく 経理に配属されたら読む本』(日本実業出版社)より内容を抜粋し、企業実務オンライン用に再構成したものです。

『即戦力になる!基本が身につく 経理に配属されたら読む本』

『即戦力になる!基本が身につく 経理に配属されたら読む本』
村井 直志 著 日本実業出版社 発行 A5判 208頁 定価1,400円(税別)

経理に配属された新人が「即戦力」になるために必要な基本知識を解説

「経理部に配属されたものの、仕事の全体像や実務がよくわからない」という人向けに、会計・税務に関する基本事項のほか、業務をするうえで必要不可欠なエクセルの活用術を解説。
即戦力となる経理担当者に必要なスキルが、この1冊で身につきます。

著者 : 村井 直志<むらい・ただし>(公認会計士) 中央大学商学部会計学科卒。税務事務所、大手監査法人、コンサルファーム、東証上場会社役員などを経て、公認会計士村井直志事務所を開設。ビジネスにまつわる「数字」をわかりやすく伝承するアカウンティング・キュレーターとして、経営コンサルティング・監査・不正調査のほか、セミナー・執筆を行う。
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