出納業務は経営管理の基本中のキホン
現金・預金等のキャッシュは、会社の血液ともいわれます。血液が回らなくなると人は生きていけなくなりますが、キャッシュがなくなれば会社という「法人」は倒産してしまいます。
それゆえキャッシュの管理は、経営管理の最重要課題といえます。
キャッシュは、紛失や横領等の不正と隣り合わせの存在でもあります。出納管理をしている経理があらぬ疑いをかけられぬよう、自分の身を守るうえでも、入金と出金、残高の「入・出・残」をしっかり管理してください。
大量の現金を日常的に扱っている某金融機関担当者は、現金について以前、こんな風に話してくれました。
「現金は、〝単なる物〟として接するよう、心がけることが大事」
会社の現金に価値を見いだすとリスクが生じます。自らを律するうえで、参考にしたい言葉といえるでしょう。
基本となる証憑は「請求書」と「領収書」
キャッシュを管理するなかで経理が扱うものに証憑(しょうひょう)があります。証憑とは、取引内容が記載された証拠書類のことです。
売上や仕入れといった取引の発生にともない、請求書や領収書という証憑が授受されます。取引先から受領した請求書・領収書等を外部証憑、自己が作成し取引先に発行したその控え等を内部証憑といいます。
申告内容を税務署等がチェックする税務調査や、財務状況が決算書類に適正に表示されているかを監査役や第三者がチェックする会計監査では、請求書・領収書等が取引事実の検証資料として用いられます。
一般的に、「外部証憑は強く、内部証憑は弱い」という証拠力の差があります。
- ▼連載「新人経理担当者のための仕事術」
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- 第12回 「会計直感力」を養うために欠かせない8つの視点
- 第11回 「会社の金」はカネと思うべからず! 抜かりのない管理が身を守る
- 第10回 経理の基本は「6S」と「5W1H」
- 第9回 「数字」はビジネスの共通語! ルールに沿って、正しく書く
- 第8回 経理が扱うすべてがインサイダー情報! 経理担当者に求められる心構え
- 第7回 経理の基本ルールは「企業会計原則」に基づいている
- 第6回 千里の道も一歩から! まず経理処理に関する社内ルールを熟知しよう
- 第5回 仕事は段取りが8割! 経理の年間スケジュールを把握すべし
- 第4回 経理の仕事は「2つの会計・3つの業務・4つの行為」
- 第3回 会社規模に応じて伸び縮みする経理担当者の守備範囲
- 第2回 経理の仕事は会社の営業サイクルと一緒に回っていく
- 第1回 「豆を数える人」で終わるなかれ!「経理」の〝語源〟と仕事
本記事は、『即戦力になる!基本が身につく 経理に配属されたら読む本』(日本実業出版社)より内容を抜粋し、企業実務オンライン用に再構成したものです。
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村井 直志 著 日本実業出版社 発行 A5判 208頁 定価1,400円(税別)
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