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これからの法改正の動き

刑事手続きのIT化に関する議論が進む

[ 2022年5月号 月刊「企業実務」編集部 ]

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 刑事事件の捜査・公判手続きのIT化の議論が進んでいます。

 このたび、「刑事手続における情報通信技術の活用に関する検討会」が報告書をまとめました。

 検討の概要では、法制上の措置をとることに委員全員の合意があった部分について、項目ごとに考えられる方策を記載しています。

電子データ化、オンライン化

 書類の電子データ化、オンライン化については、次のような手続きを可能にするとしています。

・書類の作成・発受

 紙媒体で作成・管理・発受することが予定されている「書類」等を電子データで作成・管理し、オンラインで発受することを可能にします。

・令状の請求・発付・失効

 令状を電子データで作成し、オンライン送信することや、電子計算機の映像面に表示したもの等での電子令状の呈示などを可能にします。

・電子データの証拠収集

 裁判所や捜査機関は、必要に応じて電子データの保管者に電子データをオンラインで提供することを命ずることができるようにします。

・閲覧・謄写・交付

 相手にその閲覧・謄写の機会を与えるべき証拠について、電子データであるものについては、一定のセキュリティ措置を前提に、オンラインでそれらの機会を与えることを可能にします。

・公判廷における証拠調べ

 公判廷において、電子データである証拠の取調べについて、文字情報を証拠とするものは「朗読」、文字でない情報を証拠とするものは「表示」または「再生」しなければならないなどの規定を設けます。

捜査・公判における手続きの非対面・遠隔化

 捜査・公判における手続きについて、対面していない者との間で、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をする「ビデオリンク方式」によってできる範囲を拡大します。検察官による弁解録取や裁判所・裁判官による勾留質問や、弁護人等と被疑者・被告人の接見、打合せ・公判前整理手続き等ができるようにします。証人尋問等や公判期日への出頭等、ビデオリンク方式で実施できることについての要件の規定を設けます。

 このほか、オンライン傍聴については有用性を示しつつ、実施においては懸念もあり慎重に検討する必要があること、インターネット公告の拡充による事務負担の軽減、刑事訴訟法・刑事訴訟規則に関連する和解や審判手続きでの情報通信技術活用の方策を検討すことなどが述べられています。

 法務省はこの報告書を受けて刑事訴訟法等の改正について法制審議会に諮問する見込みです。

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