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Q&Aでわかる!労基署対応の実務と予防策 第10回

休日出勤の代わりに「振替休日」と「代休」を取らせるのではどちらがトクか?

[ 川久保 皆実<かわくぼ・みなみ>(弁護士(鳥飼総合法律事務所))]

ベテランの総務担当者でも、「労基署の調査を経験したことがない」という方は少なくないでしょう。しかし、滅多にないからといって油断していると、いざ調査が入った時に取り返しのつかない事態に陥りかねません。本連載では、労基署の調査への適切な対応法と労務トラブルを防ぐ体制作りについてQ&A形式で解説していきます。

従業員に休日出勤をさせたとき、「振替休日」のほうが「代休」よりも会社にとってトクだと聞きました。どんな違いがあるのでしょうか?

roukisho-a法定休日に労働をさせた場合に、「代休」ではなく「振替休日」をとらせると、休日労働の割増賃金の支払いが不要になります。

「振替休日」と「代休」では、支払うべき賃金が違ってくる!

 納期に迫られたときやイベントがあるときなど、やむをえず休日に出勤してもらい、代わりに他の日に休んでもらうということは、よくあるのではないか思います。

 そんなとき、振替休日とするか、代休とするかで、会社が従業員に対して支払うべき賃金の額が異なることを皆さんご存知でしょうか?

「そもそも、振替休日と代休がどう違うのかわからない」

 という方も多いかと思いますので、制度としての違いも含めてご説明しましょう。

■「振替休日」とは

「振替休日」とは、あらかじめ休日としていた日を労働日とし、そのかわりに他の労働日を休日とすることを言います。

 振替休日が認められるための要件は次のとおりです。

① 就業規則に振替休日の規定があること
② 4週4日の休日を確保した上であらかじめ振替休日を特定しておくこと
③ 振替を行うことについて、振替日の前日までに通知すること

 これらの要件を満たし、振替休日とした場合には、あらかじめ休日としていた日が労働日となり、そのかわりに振り替えられた日が休日となります。

 したがって、労働した休日について、たとえその休日が法定休日であったとしても休日労働の割増賃金を支払う必要はありません。

 ただし、週をまたがって振替を行った結果、週40時間の法定労働時間を超えてしまった場合には、時間外労働に対する割増賃金の支払が必要となります。

■「代休」とは

 一方、「代休」とは、会社が休日として定めていた日に労働をさせた場合に、その代償として、その日以後の特定の労働日を休みとするものです。

 振替休日については3つの要件がありましたが、代休については就業規則等に具体的な記載があれば行うことができます。
 ただし、法定休日に労働をさせるためには、いわゆる36協定を労使の間で締結しておくことが必要です。

 代休の場合は、休日に労働をさせたという事実は消えないので、法定休日に労働させた場合には休日労働の割増賃金を支払わなければなりません。

振替休日の特定・通知は「記録に残す」

 法定休日に働いてもらう必要が発生した場合には、会社としては、事前に振替休日を特定して通知しておくというひと手間を加えるだけで、休日労働の割増賃金(割増率は0.35)を支払わなくて済むというわけです。

 ちなみに、振替休日の特定・通知を行う際には、後に労働基準監督署に監督に入られたり、従業員とトラブルになったりした場合に備えて、口頭ではなくメールなど記録に残る方法をとるようにしたほうが良いでしょう。

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▼連載「Q&Aでわかる!労基署対応の実務と予防策」
著者 : 川久保 皆実<かわくぼ・みなみ>(弁護士(鳥飼総合法律事務所)) 東京大学法学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科修了。ITベンチャーでの企画営業職を経て弁護士となる。専門は人事・労務であり、特に紛争予防・労基署対応・テレワークに力を入れている。
【公式HP】https://kawakubo373.com/
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