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Q&Aでわかる!労基署対応の実務と予防策 第6回

始業前の掃除時間は、労働時間に含まれるの?

[ 川久保 皆実<かわくぼ・みなみ>(弁護士(鳥飼総合法律事務所))]

ベテランの総務担当者でも、「労基署の調査を経験したことがない」という方は少なくないでしょう。しかし、滅多にないからといって油断していると、いざ調査が入った時に取り返しのつかない事態に陥りかねません。本連載では、労基署の調査への適切な対応法と労務トラブルを防ぐ体制作りについてQ&A形式で解説していきます。

始業前の掃除時間は、労働時間に含まれるの?始業前の掃除時間は、労働時間に含まれるの?

始業時刻前の掃除時間について、「労働時間に含まれるので賃金を支払うように」との是正勧告を受けました。任意で行う掃除も労働時間に含まれるのですか?

roukisho-aたとえ任意とされていても、「始業時刻前に出社してみんなで掃除をしよう」というような暗黙のルールがある場合には、使用者の黙示の指示があるものとして、始業時刻前の掃除時間も労働時間に含まれます。

ポイントは「黙示の指示がある」とみなされるか否か

 1日の仕事を気持ち良く始められるよう、始業時刻の前に、机や床の掃除を従業員全員で行っているという企業は非常に多いですよね。

 それ自体はとても素晴らしいことですが、その掃除時間について、「ちゃんと賃金を支払っていますか?」と聞くと、中小企業の経営者は首を横に振ることが多いように感じます。

 その理由を尋ねると、大抵の場合、「あくまで任意参加だから」という答えが返ってきます。

 ですが、たとえ建前上任意参加であったとしても、社内で「みんな掃除に参加して当たり前だよね」という雰囲気が漂っていたり、掃除に参加しない人について待遇に差をつけるなどの運用がなされていたりする場合には、掃除をすることについて使用者の黙示の指示があるものとして、始業時刻前の掃除時間も労働時間に含まれることになります。

1日 10 分の未払賃金も、過去2年分さかのぼると大きな負担に!

 また、掃除時間以外でも、休憩時間に電話番をさせている場合や、社内ルールに則らずに自発的に残業しているのを上司が黙認しているような場合には、労働時間に含まれると判断されてしまいます。

 本連載の第 2 回の記事(どのような違反があると、労基署に指摘される?)でご紹介したとおり、労働基準監督署の定期監督で指摘されやすい違反の第 1 位は、労働時間に関する違反です。

 労働基準監督署が臨検監督に入った場合には、労働時間についてかなり厳しく判断され、場合によっては、過去 2 年分について未払賃金の支払いを勧告されることもあります。

 たとえ 1 日 10 分程度の掃除時間であっても、過去 2 年分を従業員全員に支払うとなると、かなりの額になりかねませんので、現時点で違反していると思われる企業は、今のうちから改善の努力をしていくことをお勧めします。

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▼連載「Q&Aでわかる!労基署対応の実務と予防策」
著者 : 川久保 皆実<かわくぼ・みなみ>(弁護士(鳥飼総合法律事務所)) 東京大学法学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科修了。ITベンチャーでの企画営業職を経て弁護士となる。専門は人事・労務であり、特に紛争予防・労基署対応・テレワークに力を入れている。
【公式HP】https://kawakubo373.com/
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