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Q&Aでわかる!労基署対応の実務と予防策 第9回

休日出勤しても、休日労働の割増賃金が発生するとは限らない!

[ 川久保 皆実<かわくぼ・みなみ>(弁護士(鳥飼総合法律事務所))]

ベテランの総務担当者でも、「労基署の調査を経験したことがない」という方は少なくないでしょう。しかし、滅多にないからといって油断していると、いざ調査が入った時に取り返しのつかない事態に陥りかねません。本連載では、労基署の調査への適切な対応法と労務トラブルを防ぐ体制作りについてQ&A形式で解説していきます。

土日休みの週休2日制をとっているのですが、仕事の納期の都合で土曜日に出勤させました。この場合、休日労働の割増賃金を支払わなければなりませんか?

roukisho-a休日労働の割増賃金は、週に1日もしくは4週に4日の「法定休日」に労働者を働かせた場合に支払います。就業規則等において法定休日を「土曜日」等と特定していない場合は、休日労働の割増賃金を支払わないという対応も可能です。

休日労働の割増賃金が必要になる「法定休日」とは?

 通常は土日休みだけれど、納期や締切が迫っていて、やむを得ず休みの日に出勤してもらう、ということはどこの会社でもあることだと思います。

 こんなとき、企業は、休日労働の割増賃金(通常の賃金の35%以上)を支払う必要があるのでしょうか? 法律家でも正確に理解できていない人が多い点ですので、この機会にしっかりと学んでいきましょう。

 そもそも、休日労働の割増賃金が発生する「休日」とは、どんな日のことをいうのでしょうか?
 まずは労働基準法の規定を確認してみましょう。

労働基準法第35条(休日)

1 使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。

2 前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

 労働基準法は、労働者に対して毎週少なくとも1回、または4週間に4回の休日を与えるよう定めており、このような休日を「法定休日」といいます。そして、労働基準法は、この法定休日について、「休日労働の割増賃金を支払いなさい」と規定しているわけです(労働基準法第37条第1項)。

「法定外休日」であれば割増賃金の必要がない場合も

 法定休日をいつにするか(何曜日にするか等)について、企業が事前に特定しておく法律上の義務はありません。

 ですので、就業規則等で法定休日を特定していない場合には、土日休みの会社で土曜日や日曜日に出勤させたとしても、その月の勤務状況を確認し、毎週少なくとも1回または4週間に4回の休日が確保されていれば、「休日労働の割増賃金を支払う必要はない」ということになります。

 他方、すでに就業規則等で「毎週日曜日を法定休日とする」などと特定している場合には、たとえ毎週少なくとも1回または4週間に4回の休日が確保されていたとしても、特定した日に出勤させたときには休日労働の割増賃金を支払わなければなりません。

 企業の所定の休日(設問のケースでいう土曜日と日曜日)には当たるけれども、上記の法定休日には当たらない休日のことを「法定外休日」(もしくは「所定休日」)といいます。

 この法定外休日に出勤させた場合には、休日労働の割増賃金を支払う必要はありません。

 ですが、法定外休日に出勤させたことによって、その週の労働時間が合計40時間を超えることになる場合には、その超えた時間分について時間外労働の割増賃金(通常の賃金の25%以上)を支払う必要がありますので注意が必要です。

 この機会に、法定休日と法定外休日をきちんと区別して給与計算ができているか、今一度確認してみてはいかがでしょうか。

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▼連載「Q&Aでわかる!労基署対応の実務と予防策」
著者 : 川久保 皆実<かわくぼ・みなみ>(弁護士(鳥飼総合法律事務所)) 東京大学法学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科修了。ITベンチャーでの企画営業職を経て弁護士となる。専門は人事・労務であり、特に紛争予防・労基署対応・テレワークに力を入れている。
【公式HP】https://kawakubo373.com/
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