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令和5年2月28日までの公布分

近年の建築物に関するニーズをふまえた建築基準法施行令の見直し

[ 2023年4月号 月刊「企業実務」編集部 ]

令和5・2・10政令第34号=建築基準法施行令の一部を改正する政令

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 多数の死者を出した大阪市北区ビル火災をふまえた建築物の定期調査等の対象拡大、技術的検証をふまえた規制の合理化等を内容とする建築基準法施行令の改正がありました。

 その概要は、次のとおりです。

(1) 定期調査の指定可能対象範囲の拡大

 3階以上で延べ面積が200平方メートルを超える事務所等の建築物について、特定行政庁が定期調査報告の対象として指定できること等とされました(改正前は5階以上で延べ面積が1,000平方メートルを超える場合に限られていました)

(2) 物流倉庫等に設けるひさしに係る建蔽率規制の合理化

 倉庫などの外壁から突き出た軒等で、もっぱら貨物の積卸しその他これに類する業務のために設けるもののうち、安全上、防火上および衛生上支障がないものとして国土交通大臣が定めるものについて、その端から水平距離5mまでの部分を建築面積に算入しないこととされました(改正前は水平距離1mまで不算入でした)。

(3) 耐火性能に関する技術的基準の合理化

 木材利用促進に資する観点から、階数に応じて要求される耐火性能基準(火災時の倒壊防止のために壁、柱等が耐えるべき時間)について、60分刻みから30分刻みへ精緻化することとされました。最上階から数えた階数が5以上9以下の場合、要求される耐火性能基準が120分から90分に短縮されます。

(4) 無窓居室に係る避難規制の合理化

 既存ビルの間仕切り改修によるシェアオフィス等の設置に資する観点から、無窓居室であっても、避難経路となる廊下等の不燃化等の安全確保のための一定の措置が講じられるものについては、主要構造部(壁、柱等)を耐火構造等とすることが不要となりました。

 あわせて、地上等に通ずる直通階段までの距離を延長(窓等を有する居室と同等化)することとされました。

 本政令は令和5年4月1日に施行されます。

消費者保護強化

 特定商取引法の「電話勧誘販売」の対象範囲が拡大されました。たとえば、テレビショッピングを見て電話をしてきた顧客に別の商品購入の勧誘をするクロスセル等に対しての規制が強化されます。

(令和5・2・1政令第22号=特定商取引に関する法律施行令及び預託等取引に関する法律施行令の一部を改正する政令)

子育て支援の拡充

 健康保険の出産育児一時金が増額されました。産科医療補償制度の加算対象となる場合、総額50万円(現行42万円)になります。

(令和5・2・1政令第23号=健康保険法施行令等の一部を改正する政令)

照明に関する基準の明確化

 建築物省エネ法の改正に伴い、住宅の居住のための居室における照明設備の設置、有効な採光方法の確保等の措置の基準が、床面において50ルックス以上の照度を確保できる照明設備の設置とされました。

(令和5・2・7国土交通省告示第86号=照明設備の設置、有効な採光方法の確保その他これらに準ずる措置の基準等を定める件の一部を改正する告示)

火薬類取締の規制緩和

 一定量を超える火薬類の運搬に関しては都道府県公安委員会から運搬証明書の交付を受けなければならないなどの規制がありますが、保安上支障がないと認められたものについて、数量の条件の緩和などの見直しが行なわれています。

(令和5・2・16内閣府令第14号=火薬類の運搬に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令 ほか)

多様な通信サービスの提供

 自ら無線局を開設・運用せず移動通信サービスを提供する再販事業者(MVNO)に音声伝送携帯電話番号の指定ができるよう、電気通信事業法施行規則等が見直されました。

(令和5・2・22総務省令第9号=電気通信事業法施行規則等の一部を改正する省令 ほか)

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