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退職願(届)をめぐる労務問題Q&A 第5回

「退職願」と「退職届」とでは、会社が取るべき対応は違ってくる?

[ 橋本 征也<はしもと・まさや>(社会保険労務士)]

退職願を出した社員が、あとになって「やっぱり辞めたくないので撤回させてほしい」などといってくることがあります。そんなときは、どう対応すればいいのでしょうか。退職願(届)の受理・撤回等に関するトラブルを防ぐためのポイントを解説します。

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Q社員から退職願が提出された場合と、退職届が提出された場合では、受け取る際の対応を替えるべきでしょうか。

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求めているのが、辞職なのか合意退職なのか、社員の意思を確認します。会社として退職の撤回を許容できない場合には、「退職承諾書」を発行して、退職を承諾したことを伝えましょう。

 労働者から退職の申込みがあり、それに対して会社が承諾することで退職が成立する場合の合意退職は、主に「退職願」を使用します。

 一方で、従業員から会社に対して強く退職の意思表示(辞職)をしようとする場合には、「願」ではなく「届」として提出されがちです。

 従業員から退職の意思表示があった場合、かなりの割合で合意退職と辞職を混同しています。そのため、意思表示があった時点で、「合意退職を求めるのか、辞職に該当するのか」を説明も交えてよく確認しなければいけません。

 この際、慎重に手続きを行いたければ、そのときの従業員の言動についても記録を残しておきましょう。

 合意退職の場合、会社が承諾するまでは撤回の余地もあります。会社として撤回を許容できるのか、または許容できない事情があるのかについても確認します。

 許容できないことが判明している場合には、会社として「退職を承諾したこと」を証明する書類をその労働者に発行すると、その後の撤回はできないということが本人に伝わります。

■退職承諾書のモデル例

退職承諾書
○○○○殿
平成○年○月○日
○○株式会社
代表取締役○○○○

 平成○年△月△日に貴君から提出された退職願について、確かに受理いたしました。

 貴君の平成○年□月□日を退職希望日とする意思表示に対して、会社は本日承諾いたしました。

 会社は貴君の退職の意思表示を承諾したため、今後、退職の撤回は受理しません。

以上

※本記事は、月刊「企業実務」(2014年2月号)に掲載した「退職願(届)の受理・撤回等に関する労務問題Q&A」を企業実務オンライン用に再構成したものです。

▼連載「退職願(届)をめぐる労務問題Q&A」
著者 : 橋本 征也<はしもと・まさや>(社会保険労務士) 社会保険労務士AF事務所代表。1976年生まれ、大阪府出身。大阪大学法学部を卒業後、大手生命保険会社に入社。同社を退職後、大手エネルギー会社に水道メーターの検針員として入社。間もなく現場の労務管理職となる。同社が水道部門から撤退するのを機に退職し、社会保険労務士となる。
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