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Q&Aでわかる!労基署対応の実務と予防策 第2回

どのような違反があると、労基署に指摘される?

[ 川久保 皆実<かわくぼ・みなみ>(弁護士(鳥飼総合法律事務所))]

ベテランの総務担当者でも、「労基署の調査を経験したことがない」という方は少なくないでしょう。しかし、滅多にないからといって油断していると、いざ調査が入った時に取り返しのつかない事態に陥りかねません。本連載では、労基署の調査への適切な対応法と労務トラブルを防ぐ体制作りについてQ&A形式で解説していきます。

労働基準監督署の臨検監督で指摘されやすい違反は?労働基準監督署の臨検監督で指摘されやすい違反は?

労働基準監督署の「臨検監督」にはどんな種類がありますか? また、そのときに指摘されやすいのはどんな違反でしょうか?

roukisho-a臨検監督のうち、定期監督・災害時監督で指摘されることが多いのは労働時間や安全基準に関する違反です。一方、申告監督で指摘されることが多いのは、圧倒的に賃金不払いの違反です。

臨検監督は「定期監督・申告監督・災害時監督・再監督」の4種類

 労働基準監督署に臨検監督に入られた企業は、どのような違反を指摘されることが多いのでしょうか?

 まずはこの点を押さえておくことで、企業として予防策を講じる際の優先順位を把握する手がかりになるのではないかと思い、第2回はこのテーマとさせていただきました。

 本題に入る前に、臨検監督の種類についてご説明します。

 臨検監督は、①定期監督、②申告監督、③災害時監督、④再監督の4種類に分けられ、それぞれの監督の特徴は下記の通りとなります。

①定期監督 各年度の監督計画に基づいて対象事業場を選定し、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法などに違反していないかどうかの調査を行う
②申告監督 労働者の申告に基づいて行われ、申告事項を中心とした調査を行う
③災害時監督 一定程度以上の労働災害が発生した場合に調査を行う
④再監督 ①~③の監督の結果、法違反を発見して是正勧告書等を交付した事業場について、その違反を是正したかどうかを確認するために調査を行う

臨検監督で指摘されやすい違反とは?

 それでは、厚生労働省のホームページで公表されている「労働基準監督年報」(最新版は平成25年のもの)を参考に、各監督で指摘されやすい違反をランキング形式でご紹介します。

■【①定期監督】および【③災害時監督】で指摘されやすい違反TOP7
第1位 労働時間
32.0%
第2位 安全基準
26.2%
第3位 割増賃金
22.9%
第4位 健康診断
19.7%
第5位 労働条件の明示
18.1%
第6位 就業規則
13.6%
第7位 賃金台帳
10.8%
(出典:平成25年「労働基準監督年報」厚生労働省労働基準局)
■【②申告監督】で指摘されやすい違反TOP3
第1位 賃金不払い
80.1%
第2位 解雇
11.4%
第3位 最低賃金法
7.7%
(出典:平成25年「労働基準監督年報」厚生労働省労働基準局)

 このランキングを見て、ギクリとされた企業の方も多いのではないでしょうか。

 「そんなこと言ったって、労基法をすべて守っていたら会社が潰れちゃうよ!」という声も聞こえてきそうです。

 次回以降では、企業の経営にも配慮しつつ、上記のような違反をなくしていく方法について、一つひとつ丁寧にご紹介していきたいと思います。

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▼連載「Q&Aでわかる!労基署対応の実務と予防策」
著者 : 川久保 皆実<かわくぼ・みなみ>(弁護士(鳥飼総合法律事務所)) 東京大学法学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科修了。ITベンチャーでの企画営業職を経て弁護士となる。専門は人事・労務であり、特に紛争予防・労基署対応・テレワークに力を入れている。
【公式HP】https://kawakubo373.com/
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