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取引先リスク管理Q&A 第12回(最終回)

Q12 与信限度額を超えてしまいそう! どんな検討をすればいい?

[ 『取引先リスク管理Q&A』 株式会社リスクモンスター(データ工場)]

取引先のリスク管理においては、「取引先の与信調査」から始まって、契約を締結する段階の「債権保全」、その契約やその履行状況を管理する段階の「債権管理」、そして最後に債権を回収する段階の「債権回収」と、各段階の管理がいずれも重要になります。こうした取引先のリスク管理の方法について、Q&A形式でわかりやすく解説します。

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Q 与信限度額を超えてしまいそう! どんな検討をすればいい?
 与信管理ルールを運用していくうえで、与信限度額を遵守することは非常に重要です。

 与信限度額を超過しそうな状態にあることが判明した場合、対応方法を検討するために、まずはその原因を把握する必要があります。

解説

与信限度額超過の原因

 与信限度額が超過する要因としては、以下の状態が挙げられます。

  • 取引先と取引額が拡大する場合
  • 取引条件の変更により回収サイトが長期化する場合
  • 取引先の信用力低下により、自社の取引限度額を減額する場合
  • 取引先の支払遅延により、債権の回収が滞っている場合

 取引先との取引状態によって、それぞれの対応方法が異なってきますので、与信限度額の超過理由が何なのかをきちんと把握することが重要です。

対応方法

 与信限度額が超過しそうな場合に、検討できる方法として、大きく2つの方法が考えられます。

  • 与信限度額を増額して、増加する債権を与信限度額内に収める
  • 与信限度額を変更せず、債権を圧縮させることで、債権を与信限度額内に収める

 2.の方法は、取引先の販売状況が好調で取引量が増加した場合など、取引先の信用力が増額するのに妥当な状態にある場合にのみ検討します。

 一方で、支払延期要請を受けていたり、すでに支払遅延状態にあるなど、取引先の信用状態に懸念がある場合には、債権リスクの拡大を抑制するために、2.の方法で検討する必要があります。

 2.の方法で検討する場合には、取引先と今後の取引方針について交渉し、取引額の縮小や回収サイトの短期化などにより、保有債権が与信限度額内に収まるように調整を試みます。

 もしも、債権の圧縮が間に合わず、一時的に与信限度額を超えてしまう状態となりうる場合には、与信限度額が超過状態になることを防ぐために、債権の圧縮が完了するまでの間の時限措置として、臨時限度額を設定する必要があります。

超過してしまった場合

 万が一超過状態にあることが判明した場合には、速やかに上述の対応方法を検討すると共に、対応方法が決定するまでの暫定措置として臨時限度額を設定しなければなりません。またそのうえで、与信限度額超過状態に陥ることを事前に検知できなかった原因を探り、再発防止に努める必要があります。

 もしも、限度超過状態にあることのリスクがきわめて高いと判断される場合には、一時的に取引信用保険により保全を図ることも検討すべきです。

その他の与信限度額違反

 与信限度額に関する違反は、限度額の超過だけではありません。このほかに、「与信限度額が未設定となっている」、「与信限度額の期限が切れている」といった事象も与信限度額の違反状態にあると言えますので、「与信限度額を設定すべき取引先に設定できているか」、「設定した与信限度額内で取引できているか」、「与信限度額を更新する時期はいつか」という観点で、与信限度違反の状態に陥らないように管理体制を構築することが重要です。

出典:本記事は、『取引先リスク管理Q&A』(リスクモンスター データ工場 著)からの転載です。
『取引先リスク管理Q&A』(リスクモンスター データ工場 著)

▼連載「取引先リスク管理Q&A」
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