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取引先リスク管理Q&A 第11回(全12回)

Q11 既存の取引先から取引増額の申出があった! 何を検討すればいい?

[ 『取引先リスク管理Q&A』 株式会社リスクモンスター(データ工場)]

取引先のリスク管理においては、「取引先の与信調査」から始まって、契約を締結する段階の「債権保全」、その契約やその履行状況を管理する段階の「債権管理」、そして最後に債権を回収する段階の「債権回収」と、各段階の管理がいずれも重要になります。こうした取引先のリスク管理の方法について、Q&A形式でわかりやすく解説します。

Q11 既存の取引先から取引増額の申出があった! 何を検討すればいい?

Q 既存の取引先から取引増額の申出があった! 何を検討すればいい?
 「取引先から取引の増額要請があった!」ということは、一見喜ばしいことのようにみえるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。

 たとえば、取引先の業況が好調である場合や自社商品の競争力が優れている場合には、前向きな受注増加として捉えることが可能ですが、競合他社が取引先の不安情報を入手して取引を撤退している場合や取引先が苦しい資金繰りを乗り切るために不当廉売(ダンピング)している場合などは、危険なサインですので、容易に増額要請に応じてはいけません。

解説

取引増加理由の確認

 取引先から取引増額の申出があったら、必ず「なぜ増額が必要なのか?」を確認しましょう。

 増額の可否判断においては、上述のような状況確認が重要な判断基準の1つとなりますが、取引先が素直に窮地にあることを教えてくれることばかりではないので、確認の際には、相手方の申告を鵜呑みにしない姿勢が必要です。

 取引先の申告内容を客観的に判断するためには、取引先の業績状況や業界や商品の動向、景気状況を知っておく必要があります。相手方の言い分のみで判断することなく、周辺環境なども複合的に鑑みて、取引を増加させることが危険な行為ではないかを十分に検討することが重要です。

与信限度額の超過に注意!

 取引を増額するということは、債権(リスク)が増加するということ、であることを忘れてはいけません。ですから、いくら取引増加の理由に妥当性が認められたとしても、それだけで取引の増額に応じてはならず、自社が当該取引先に対して許容できるリスクの量を常に意識ながら、増額可否を判断する必要があるのです。

 特に既往取引において、与信限度額に迫る水準で取引が行われている場合などにおいては、取引の増額に対して、与信限度額の増額を検討しなければなりません。

 与信限度額は、自社にとって「安全な取引額」と「必要な取引額」の両方を満たす範囲で設定されることが重要です。取引が増加する、という「必要な取引額」だけに目を奪われることなく、取引先の信用力、取引先における自社との取引シェア、万が一貸倒れた際の自社財務体力への影響度など、「安全な取引額」に収まっているか、という観点も含めて、新規取引の開始時と同様に見直すことが重要です。

 また、当然のことですが、取引の増額に伴って与信限度額を増額する必要がある場合においては、与信限度額増額の決裁が得られるまで、取引を行ってはいけません。自社の業績を向上させるためには、取引先との取引拡大は喜ばしいことではありますが、目先の利益に捕らわれることなく、きちんとリスクを計ったうえで、判断することが重要です。

出典:本記事は、『取引先リスク管理Q&A』(リスクモンスター データ工場 著)からの転載です。
『取引先リスク管理Q&A』(リスクモンスター データ工場 著)

▼連載「取引先リスク管理Q&A」
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