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取引先リスク管理Q&A 第8回(全12回)

Q8 取引先が赤字になった! 何を検討すればいい?

[ 『取引先リスク管理Q&A』 株式会社リスクモンスター(データ工場)]

取引先のリスク管理においては、「取引先の与信調査」から始まって、契約を締結する段階の「債権保全」、その契約やその履行状況を管理する段階の「債権管理」、そして最後に債権を回収する段階の「債権回収」と、各段階の管理がいずれも重要になります。こうした取引先のリスク管理の方法について、Q&A形式でわかりやすく解説します。

取引先が赤字になった! 何を検討すればいい?

Q 取引先が赤字になった!何を検討すればいい?
 まずは、「売上の推移」と「損益計算書のどの利益段階から赤字に転落しているのか」を確認しましょう。

 赤字の原因は赤字に転落した利益段階からおおむね推測できます。上段の利益段階の状態も踏まえて、赤字の原因を探り、赤字による資金繰りへの影響や今後の事業活動への影響を探りましょう。

解説

売上総利益(粗利益)の段階で赤字に転落している場合

 売上原価が売上高を上回り、全く利益が得られていない状態であるため、明らかに異常な状態と言えます。まず、売上の推移を確認します。売上が大幅に減少している場合は、今後の売上の見通しを検討する必要があります。今後も売上の回復が望めない場合は、リストラの実施などによる費用の削減に取り組んでいるかを確認しましょう。

 次に、原材料や労務費、外注費などの製造コストや商品の仕入コストが高くなっていないかを確認しましょう。原材料や商品の価格が高騰している場合、今後も価格の高騰が続き、高騰分を販売価格に転嫁できなければ、赤字が続くおそれがあり、事業縮小や撤退の可能性を検討する必要があります。

 また、取扱製品・商品の販売単価を調べ、廉価販売の実施の有無も確認します。廉価販売の場合、在庫を減らして、現金を捻出しようとしている可能性が考えられます。資金繰りの状況を把握し、取引先の信用力に変化が生じていないかを調査しましょう。

営業利益の段階で赤字に転落している場合

 本業での収益力が乏しい状態であり、十分な粗利益を得られていない場合や販売や管理に関わる人件費や経費が急増している場合があります。従業員や他のコストを業界標準と比較し、高コスト体制ではないかを確認し、早期の是正可能性を検討します。

 また、減価償却計上前段階での営業利益(償却前営業利益)を確認しましょう。償却前営業利益が赤字の場合は、本業での資金流出のおそれがあるため、資金繰りの悪化に注意が必要です。

経常利益の段階で赤字に転落している場合

 支払利息や雑損失などの営業外費用が嵩んでいる可能性があります。借入状況を把握し、借入が急増している場合には、借入金額と支払利息から支払利息率を類推し、高利金融の利用の有無を検証します。高利金融利用の可能性がある場合には、金融機関からの評価が低下していないかを調査します。

当期純利益の段階で赤字に転落している場合

 特別損失の計上を確認します。固定資産売却損や投資有価証券売却損が計上されている場合は、損失を出してまで固定資産や有価証券を売却していますので、売却金額と売却理由を確認し、資金繰りの状況を把握しましょう。

 また、貸倒損失を計上している場合には、貸倒れが発生した先や貸倒金額、貸倒れの発生による資金繰りへの影響を確認します。

 さらに、当期純利益の赤字による純資産(自己資本)毀損のおそれがありますので、純資産の額を確認し、財務体力への影響度合いを検討しましょう。

 連続して赤字を計上している場合には、金融機関による評価が変化していないか、資金の調達余力が低下していないかの検討も必要です。

出典:本記事は、『取引先リスク管理Q&A』(リスクモンスター データ工場 著)からの転載です。
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