能力が著しく不足する社員、パフォーマンスが著しく劣る社員のことを、近年では「ローパフォーマー」とか「ただ乗り社員」などと呼んでいます。
20年前であれば、会社もローパフォーマーを雇用し続ける余裕がありました。
周囲の社員にもローパフォーマーをカバーする精神的な余裕があったので、仕事をしない(できない)社員であっても、会社や他の社員に支えられて雇用が継続されていたのです。
しかし、いまは限られた人材で、利益を確保しなければなりません。
ローパフォーマー対策は、会社の重要な課題になりつつあります。
ローパフォーマーへの不適切対応をデキる社員は見ている!
ローパフォーマーの存在は、周囲の社員にとって大きなストレスです。
- 部門要員としてカウントはされるが、任せられる業務が限られるため、他のメンバーの負担が重くなる
- 常に周囲の社員がカバーしなければならない
- 何とかしてほしいが個人攻撃のようで上司には言いにくい。または、言っても何もしてくれない
- 役割や担当業務と処遇が見合わない(給与が高すぎる)
1人のローパフォーマーのために周囲のメンバーに負担や不満がたまり、結果的に職場のモラールダウンを招きます。
ローパフォーマーを放置することは、会社に深刻なダメージを与えかねないのです。
しかし、仕事ができないからといって、簡単に解雇することはできません。
また、不用意に退職勧奨などを行えば、労務トラブルにも発展しかねないでしょう。
人事担当者としてはもっとも避けたい事態です。
労務トラブルを恐れてか、ローパフォーマーの存在に気がつきながら、適切な対応をとらないでいるケースさえあります。
よくあるのが、次のような対応です。
- 異動させる部署もないので当たり障りのない業務を担当させている。業務上よほど支障がない限り、特に何も注意や指導は行っていない。
- 管理職は定期異動で交代するため、在籍期間を無難に乗り切ることが中心で本人への指導等は特に行わない。
- 専門的な能力や経験があるとして高処遇で採用したが、専門的な知識等も他の社員より劣り、期待された結果が全く達成できなかった。専門知識等を必要としない他の部門に配転したが、処遇の変更はしていない。
こうした〈事なかれ主義的対応〉は、周囲の社員に会社に対する不信を募らせるだけです。
人事担当者や管理職には、絶対にやっていただきたくない間違った対応です。