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2021年9月号掲載【特別記事】

「“男性が育休を取得しやすい”職場環境の整え方」の概要

[ 企業実務オンライン ]

今年6月9日に公布された、改正育児・介護休業法について解説します。

2. 改正の概要

改正の概要は大きく、5つの事項です。

  1. 育児休業を取得しやすい雇用環境整備等
  2. 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
  3. 子の出産直後の時期における柔軟な枠組み(出産時育児休業)
  4. 育児休業の分割取得
  5. 育児休業の取得状況の公表が義務化(従業員数1,000人超企業)

現行の育児休業制度は“子どもを養育すること”を目的としていましたが、前述の通り今回の改正は“主に男性の育児休業取得を促進すること”を目的としています。

そのため事業主は、育児休業を取得しやすい職場づくりが義務となります。

そこで、具体的にはどういった取り組みが必要になってくるのでしょうか。
最後に 4. まとめ で改正に向けて役立つ情報を載せていますので、ぜひご覧ください。

3.  改正の5項目 詳細と具体例

(1) 育児休業を取得しやすい雇用環境整備等

これまでは環境整備に関する規定はありませんでしたが、育児休業制度を周知するとともに、取得意向を確認するための措置が義務付けられます。

こちらは、

・研修や相談窓口の設置

または

・今後示される厚生労働省令の措置

を含めた複数の選択肢からいずれかを選択して実施することになります。

環境整備として「単にポスターの掲示をする」のみでは足りず、周知して取得意向を確認しなければなりません。

周知する具体的な方法としては、

・面談での制度説明
・書面等による制度の情報提供 等

の選択肢からいずれかを選択して実施します。

(2) 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

旧来、有期雇用労働者の育児休業の取得については、以下2つの要件があります。

1)当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上
2)子が1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでないこと

これが改正によって、1)がなくなり、無期雇用労働者と同様の取扱い となります。

ただし、入社1年未満の労働者は、労使協定の終結により除外が可能となっています。
ですので、この点をどうするのか、労使協定の内容を改めて検討する必要があります。

(3) 子の出産直後の時期における柔軟な枠組み(出産時育児休業)

旧来、出産時育児休業は、女性の産後休業中(就労できない期間)であるため、改正は、主として男性を意識した内容となっています。

子どもの出生後8週間以内の期間に4週間(28日)まで育児休業を取得することができます。
この期間中であれば、分割して2回まで育休取得が可能になります。

また、育児休業の申し出は 原則1か月前 ですが
子の出生後8週間以内については 2週間前  までの申請が可能になります。
(ただし、1か月前を申出の期限にできる例外はあり)

(4) 育児休業の分割取得

定められた期間中であれば、出産時育児休業とは別に 、分割して2回まで育休取得が可能 になります。

つまり男性の場合は、子が1歳になるまで、最大で4回 に分割して取得できることになります。
また改正後は、
1歳未満の育児休業の申出を撤回した場合であっても、1回の育児休業をしたものとみなされます。
1歳以降の育児休業については、特別の事情がない限り同一の子について再度申請はできません。

(5) 育児休業の取得状況の公表が義務化(従業員数1,000人超企業)

従業員1,000人超の企業には、育児休業の取得状況の公表が義務付けられます。

具体的には、
「育児休業等の取得率」
「育児休業等および育児目的休暇の取得率」
を公表することを予定しており、詳細は厚生労働省令で示される予定です。

こちらは、2023年4月1日以降から施行されます。

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