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風景を読む“知的”散歩術のススメ 第2回

「龍」の指は何本あるか?

[ 古川愛哲<ふるかわ・あいてつ>(フリーライター)]

風景は書物であり、読むものである——ふだん何気なく歩いている場所も、じつは情報に溢れている。ありきたりの風景には、豊かな歴史や人間ドラマが隠れているのだ。

龍は中国王権のシンボルである。水中に棲む龍は降雨をもたらし、時いたれば天に昇る。水中と天を往来する超越的な動物とされて、王の乗物となり、王権の象徴となった。中国皇帝の着衣、宮殿にも龍の紋様や彫り物がある。それも日本では決して見られない龍である。何が違うのか?

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――龍は中国王権のシンボルである。水中に棲む龍は降雨をもたらし、時いたれば天に昇る。水中と天を往来する超越的な動物とされて、王の乗物となり、王権の象徴となった。

 中国皇帝の着衣、宮殿にも龍の紋様や彫り物がある。それも日本では決して見られない龍である。何が違うのか?

 中国皇帝の着衣模様や宮殿の龍は、指が5本ある。ところが日本の龍は中国皇帝に遠慮して4本までである。徳川家ゆかりの江戸期の建築物に彫られたり、描かれた龍でさえも、指は4本までのものしか見たことがない。

 日本で龍の絵や彫刻に出会ったら、その指の数を数えると興味深い。多くて4本までで、地位によって指の数は減る。江戸時代までは中国王権に謙虚なもので、5本指の龍があれば、それは日本では近代の産物である。

▼連載「風景を読む“知的”散歩術のススメ」
著者 : 古川愛哲<ふるかわ・あいてつ>(フリーライター) 1949年、神奈川県に生まれる。日本大学芸術学部映画学科で映画理論を専攻。放送作家を経て、『やじうま大百科』(角川文庫)で雑学家に。「万年書生」と称し、東西の歴史や民俗学をはじめとする人文科学から科学技術史まで、幅広い好奇心を持ちながら「人間とは何か」を追求。著書に『「散歩学」のすすめ』(中公新書クラレ)、『江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた サムライと庶民365日の真実』(講談社プラスα新書)などがある。
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