Q 取引先が倒産か!? まず何をしたらいい?
A まずは、電話でのヒアリングを試みたうえで、取引先の本社や工場を訪問し、現状を確認します。
法的整理を行う際には、事務所の入り口に、整理内容や代理人弁護士の連絡先などが記載された通知が掲示されていることが多いので、通知が掲示されている場合は、内容を確認し、どのような手続に移行するのかを把握する必要があります。
確認の結果、倒産の事実が明らかになったら、自社の債権の回収見込みについて検討しなければなりません。
解説
事実確認
「取引先の倒産したかもしれない!」という情報を入手した場合には、まず取引先に電話して営業状況を確認しましょう。多くの場合、倒産企業では電話が繋がらない状態になっていますので、その場合は、本社事務所や工場などを訪問し、営業状態を確認する必要があります。電話確認において、通常どおりに営業しているように感じた場合でも、念のため調査会社などに事実確認を行うほうが望ましいです。
電話や訪問において、倒産状態にあることが確認できた場合には、取引先の経営者や代理人弁護士などにヒアリングを図り、今後の手続の見通しなどについて確認する必要があります。
自社債権の確認
取引先の倒産が判明した場合には、自社債権について以下の点などを確認し、回収の準備に入りましょう。
- 債権、債務、契約残
- 債権債務の種類
- 支払期日
- 契約書の内容(条項)
- 自社販売商品の所在
回収方針の検討
債務者(代理人)へのヒアリングにおいて、自社の債権回収に対して債務者が協力的であるか否かを客観的に見極めることは、その後の債権回収方針を決めるうえで非常に重要です。債務者の協力姿勢に応じた適切な回収活動の初動に繋げましょう。
回収活動の初動
(1) 出荷停止
自社の未回収債権を増やさないために、出荷前や輸送中の商品について速やかに停止手続を行う必要があります。
(2) 契約解除
債務者の手元に代金未払いの自社販売商品がある場合には、取引先との合意のうえで契約を解除して、自社商品を回収します。
(3) 裏書譲渡手形を活用
債務者が第三者振出手形を所持している場合、裏書譲渡してもらうことで回収を図ります。
(4) 相殺による回収
自社が債務者に債権と債務の両方を有している場合で、かつ当該債権債務が相殺適状となっている場合には、相殺により自社の債務を消滅させる旨の意思表示を行ったうえで相殺を実行します。
出典:本記事は、『取引先リスク管理Q&A』(リスクモンスター データ工場 著)からの転載です。
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